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制度・法定事項

廃棄物処理法関連規定

廃消火器リサイクルシステムは、(社)日本消火器工業会(以下、消火器工業会)が環境大臣から広域認定を受けて運用しています。消火器工業会から業務委託を受けることにより、広域認定範囲で本システムに参加する事業者(特定窓口、指定引取場所、運搬業者、リサイクル施設〔処分会社〕)は、廃消火器の取扱いにあたって廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号))の適用を受けますので、厳重な注意が必要となります。
以下では、広域認定制度と広域認定範囲で廃消火器の収集運搬、保管等の業務を実施する際に、遵守すべき規定を抽出して、紹介します。法律は「法」、施行令(政令)は「令」、施行規則(省令)は「規則」と省略して記載します。消火器工業会並びに㈱消火器リサイクル推進センターの判断で、重要と思われる規定から列挙しています。法令条文の昇順にはなっていませんので、ご注意下さい。
※法律・政令・省令は、総務省法令データ提供システムにリンクしています。

1.広域認定制度とは

1.1 広域認定制度の定義
広域認定制度とは、環境大臣が廃棄物の減量その他適正な処理の確保に資する、広域的な処理を行う製造事業者等を認定し、廃棄物処理業に必要な地方公共団体ごとの許可を不要とする特例制度です。
■一般廃棄物 法第9条の9
■産業廃棄物 法第15条の4の3
廃消火器リサイクルシステムでは、この広域認定制度を活用し、消火器工業会としての団体申請を行いました。消火器工業会との委託契約関係に基づき、特定窓口(販売代理店)、指定引取場所、運搬業者(二次物流)、リサイクル施設などを広域認定範囲に入れています。

1.2 広域的処理を行い、または行おうとする者の基準
広域認定制度においては、申請者のみならず、広域認定範囲でシステムに参加する事業者すべてについて、欠格要件※1に該当していないこと、不利益処分※2を受けた日から5年以上経過していること等の基準を満たしていることが求められます。
廃消火器リサイクルシステムでは、広域認定範囲でシステムに参加するいかなる事業者についても、業務委託契約書のなかで、基準を満たさなくなったとき、速やかに委託者である消火器工業会に報告することを義務付けていますので、ご注意下さい。

※1 欠格要件とは
廃棄物処理法では、廃棄物処理業、施設許可申請にあたって、申請者の資質に関する要件として、欠格要件に該当しないことという一項が設けられています。欠格要件とは、廃棄物処理法に従った的確な業の遂行等が期待できない者を類型化し、これらを排除しようとする趣旨の規定です。
一般廃棄物、産業廃棄物、それぞれの業・施設許可申請の要件を定めた規定において、申請者がこれらのいずれにも該当しないこととされています。一つでも該当すれば許可を受けることができません。また、許可を取得した後に欠格要件に該当するに至った場合には許可は取消処分となります。
詳細は、以下の条文を参照してください。ここでは例として主要なものを挙げておきます。
  • 破産者となった
  • 禁固刑以上の刑が確定した(代表者、役員等):暴行罪、業務上過失傷害、道路交通法違反等
  • 廃棄物処理法違反で懲役若しくは罰金の罰則が確定した(代表者、役員等):再委託や名義貸しの禁止のほか、不法投棄、野焼きの禁止違反等
  • 暴力団員であることが判明した(代表者、役員等)
  • 廃棄物処理法、その他環境関連法に違反し、業・施設許可取消処分を受けた
■一般廃棄物 法第7条第5項第4号
■産業廃棄物 法第14条第5項第2号

※2 不利益処分(行政処分)とは
廃棄物処理法、浄化槽法、又は施行令第4条の6に規定する法令の規定によるものであって、行政手続法第2条4号に規定する不利益処分をいいます。具体的には、改善命令、措置命令、業務(事業)停止命令、許可取消処分が該当します。行政指導は該当しません。

1.3 広域的処理の用に供する施設の基準
広域認定制度においては、広域認定範囲で収集運搬、一時保管、処分(中間処理)を行う事業者の施設について、規則で基準を設けています。
廃消火器リサイクルシステムでは、システム運用後の委託業務実施状況、並びに、この施設基準への適合状況に関して、消火器工業会が委託先事業者の監査を自主的に実施する可能性がありますので、ご了解ください。

1.4 広域認定を受けた者に処理委託する場合の産業廃棄物管理票交付の不要
広域認定を受けた者は、関係する地方公共団体の許可は不要となり、「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の送付、回付、保存等の義務は免除されます。
■産業廃棄物管理票の交付を要しない場合 規則第8条の19第5号
廃消火器リサイクルシステムでは、廃消火器の排出者となる消火器ユーザーは、広域認定範囲内の特定窓口(販売代理店)、指定引取場所等に廃消火器を引渡す場合、産廃マニフェストを交付する必要はありません。マニフェストに代わるものとして、「受取伝票」を準備しており、排出者に対して裏面に約款(廃棄物処理委託契約)の付された、受取伝票控えをお渡しすることにしています。排出者の契約書保存義務(5年間)を説明して、法令遵守を促すことが求められます。
■産業廃棄物処理委託契約書保存義務 規則第8条の4の3
<参考> 広域認定制度に関連する環境省の資料

2.広域認定範囲内で業務を行う際に準拠すべき規定

2.1 広域認定に係る運搬車の表示義務
広域認定を受けた者からの委託で、収集運搬を行う車両には、運搬車両の側面両側に「車両表示」をする必要があります。
廃消火器リサイクルシステムでは、特定窓口、指定引取場所、運搬業者が廃消火器を車両で運搬するときには、車両の側面両側に、必ず表示をしなければならないとしています。

2.2 運搬車両で携帯しなければならない広域認定証写し
産業廃棄物を車両で運搬する際に、許可証の写しの携帯が求められます。広域認定を受けた者からの委託により廃棄物の運搬を行う際には、規則で広域認定証の写しの携帯を義務付けています。
■産業廃棄物 規則第7条の2の2 運搬車を用いて行う産業廃棄物の収集又は運搬に係る基準
※準用されるべき規定として船舶を用いて行う場合の規定 規則第7条の2
廃消火器リサイクルシステムでは、特定窓口、指定引取場所、運搬業者が廃消火器を車両で運搬するときに、広域認定証の写しを携帯できるよう、推進センターホームページからダウンロードできるようにしています。

2.3 収集運搬の基準
広域認定範囲での収集運搬に際しても、処理基準(収集運搬基準)が適用されます。収集又は運搬を行う場合、次のことを遵守する必要があります。
  • 飛散し及び流出しないようにすること
  • 廃棄物の運搬に伴う悪臭、騒音、振動によって生活環境の保全上支障がないような措置を講じること
■一般廃棄物 法第7条第13項
■産業廃棄物 法第14条第12項

2.4 一時保管に係る基準
広域認定を受けた者の委託で、回収拠点として一時保管をする場合には、廃棄物の積替え保管場所に係る掲示板の規定が適用されます。
■一般廃棄物 規則第1条の5
■産業廃棄物 規則第7条の3
廃消火器リサイクルシステムでは、消火器工業会が取得した広域認定番号を付した掲示板を推進センターのサイトからダウンロードできるようにしています。必ず、見えやすい場所に掲示してください。
上記、掲示板以外の廃棄物の保管基準は次のとおりです。
  • 保管場所の周囲に囲いが設けられていること。保管する廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合には、その荷重に対して構造耐力上安全であること。
  • 保管場所から廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないような措置を講ずること。
  • 廃棄物の保管に伴って汚水が生ずるおそれがある場合は、公共水域および地下水の汚染防止のために必要な排水溝、その他の設備を設けるとともに、それらの設備の底面を不浸透性の材料で覆うこと。
  • 保管場所には、ねずみが生息したり、蚊、ハエその他の害虫が発生したりしないようにすること。
  • 廃棄物を容器に入れずに屋外で保管する場合は、次のようにすること。
    a.廃棄物が囲いに接しない場合は、囲いの下端から勾配50%以下。
    b.廃棄物が囲いに接する場合(直接、壁に負荷がかかる場合)は、囲いの内側2m は囲いの高さより50cmの線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とする。
    ※勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5度

2.5 処理業(収集運搬業、処分業)に必要な帳簿の備付け・保存義務
広域認定を受けた者及びその委託により廃棄物の処理を行う者は、許可業者と同様に、帳簿を備え、保存しなければなりません。産業廃棄物の処理に関しては、産業廃棄物の種類ごとに、収集運搬、処分の区分に従い、各所定の事項を記載することになっています。この帳簿は事業場ごとに備え、毎月末までに前月中における所定事項について、記載を終了していなければなりません。
また、この帳簿は、1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間、事業場ごとに保存することになっています。
■一般廃棄物
(一般廃棄物処理業) 法第7条第15項及び第16項
(帳簿記載事項等) 規則第2条の5
■産業廃棄物
(産業廃棄物処理業) 法第14条第15項
(帳簿記載事項等) 規則第10条の8
×罰則 ※30万円以下の罰金 法第30条第1号
廃消火器リサイクルシステムでは、特定窓口、指定引取場所、運搬業者が、それぞれ専用の「受取伝票」を用いて、法の定めに準じ、1年ごとに取り纏め、その後5年間、事業場ごとに保存していただくことになっています。

2.6 再々委託(広域認定範囲外の第三者への委託)の禁止
広域認定範囲に入った特定窓口、指定引取場所、運搬業者、リサイクル施設は、下図のように消火器工業会の委託を受けて、排出者(消火器ユーザー)の廃消火器の収集運搬、保管、中間処理(処分)等を行うことになります。
法により、広域認定業務を他者に委託することは禁じられています。第三者に委託した場合、排出者から見ると、「再々委託」を行うことになってしまいますので、特にご注意ください。
■一般廃棄物 法第7条第14項
■産業廃棄物 法第14条第14項
×罰則
※3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれの併科
法第26条第1号

2.7 名義貸しの禁止
廃棄物処理業者は、自己の名義をもって、他人に廃棄物の処理を業として行わせてはならないとされています。
「名義貸し」とは、例えば、許可を受けている処理業者が許可を有していない他人に対して、その許可証(又はその写し)等を貸与することなどにより、外見上許可業者としての体裁を整えさせ、許可を有する処理業者の名義で業を行わせることを言います。
■一般廃棄物 法第7条の5
■産業廃棄物 法第14条の3の2
×罰則
※5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれの併科
法第25条第7号
※罰則の適用とは別に、行政処分として「無許可営業」等と同様、許可取消しとなります。

3.無許可営業

 消火器を廃棄物として引き取って収集運搬又は処分する際には、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集運搬業の許可が必要です。また、引き取った消火器を処分する際には、一般廃棄物又は産業廃棄物の処分業の許可が必要です。
 ただし、廃棄物処理法に基づく特例制度により環境大臣の広域認定を受けた者は、上記の許可を受けずに、廃棄物として引き取った消火器の収集運搬や処分を行うことができます。
 これらの必要な許可や認定を受けずに消火器を廃棄物として引き取り、収集運搬や処分を行うと「無許可営業」として罰せられます。
 また、無許可業者に消火器を廃棄物として引き渡し、収集運搬や処分を依頼した者も罰せられることとなります。
 消火器を廃棄物として引き渡すときは、引渡し先の事業者が廃消火器を取り扱うことのできる許可や認定を受けていることを確認することが重要です。
■一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業の許可
法第7条 第1項、第6項
■産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業の許可
法第14条 第1項、第6項
■一般廃棄物の運搬、処分等の委託の基準
法第6条の2 第6項、第7項
■産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準
法第12条 第6項、第7項
×罰則
■無許可営業を行った者
※5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれの併科

法第25条 第1項 第1号
■排出者(無許可業者へ廃棄物処理を委託した者、又は委託基準違反)
※無許可業者への委託は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれの併科
※委託基準違反は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれの併科

法第25条 第1項 第6号、法第26条 第1号

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